■最年少の知事/5人の子の母/筋金入り保守 【ワシントン=渡辺浩生】米大統領選で共和党の副大統領候補に29日指名されたアラスカ州の女性知事、サラ・ペイリン氏(44)は、地元で政治刷新に取り組む「保守派のマドンナ」で、陸軍兵士からダウン症の乳児まで5人の子の母。無名だが多彩な表情を持つ共和党初の女性副大統領候補のデビューは、全米メディアの話題を独占中だ。 「私は普通のホッケー・ママ(子供を地元のホッケーチームに通わせる母親)だった」。ペイリン氏は29日、オハイオ州デートンでの集会で、夫のトッド氏と4人の子供とともに登壇し、自己紹介した。 幼いころアイダホ州からアラスカ州に移住。高校時代はバスケットボールの選手で地元の美人コンテストで優勝した。アイダホ大学卒業後、アンカレジのテレビ局キャスターを務め、その後夫と漁業に従事した。ハンティングが趣味で、全米ライフル協会(NRA)終身会員でもある。 地元ワシラ市で子供の学校のPTA活動に熱中していた1992年、同市議に選ばれ政治の道へ。同市長から2006年に女性初かつ最年少の同州知事に一気に駆け上がった。 アラスカ州は、石油・天然ガスが豊富なゆえに、業界と地元政治家・官僚との癒着や汚職が絶えず、連邦捜査局(FBI)の捜査対象にもなった。ペイリン氏は、政治倫理法の制定や利益誘導型支出の撲滅などの改革に取り組み始めた。 州内の支持率は80%。この政治姿勢が、「ワシントンの既成政治の刷新を」と主張するマケイン氏の目にとまる結果となった。 しかも、筋金入りの保守主義者である。 キリスト教右派エバンジェリカル(福音派)の信者で、妊娠中絶への反対を貫く。今年4月に誕生した第5子は、胎児のころにダウン症であることが分かった。しかし、「すべての赤ちゃんがよい目的のために創造され、この世界をより良くする可能性を持っている」と出産を決意した。 お披露目の壇上に姿を見せなかった長男は、陸軍兵士で、米中枢同時
テロ発生から7周年の9月11日に、イラクに赴く予定だ。「自分の長男と軍服を着て国に奉仕するすべての男女を誇りに思う」。そう演説で述べると聴衆は「USA! USA!」と一斉に連呼して星条旗を振った。 さらに、過去大統領選に挑戦した女性先駆者として、1984年の民主党副大統領候補、フェラーロ氏と、オバマ候補との指名争いに敗れたクリントン上院議員の2人を挙げ、「米国女性の闘いは終わっていないが、今回限りでガラスの天井を打ち破ってみせる」と宣言し、ヒラリー信者の揺れる心に訴えた。 「史上最も無名な副大統領候補」(米紙ワシントン・ポスト)の劇的なデビューは、前夜まで初の黒人大統領候補オバマ氏の指名に集中した全米のメディアの話題をさらい、大統領選の行方を一気に混沌(こんとん)とさせた。【関連記事】・
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